幅広いジャンルの曲を歌いこなすには、声量を強化するためのトレーニングも重要です。特に高音域はボリュームが小さくなりやすいため、思うような声が出ず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、声量のある高音を出すための練習方法を詳しく解説します。ポイントごとで高音を出すコツを知っておくと、複数の観点からアプローチできるでしょう。基礎的なトレーニングに加え、ミックスボイスを習得するコツもご紹介します。
高音でも声量を上げるための4つのポイント

声のボリュームを上げるためには、リラックスできる状態や呼吸方法の見直しが必要です。喉の使い方をマスターし、ミックスボイスも習得できるようトレーニングメニューを考えましょう。まずは、高音の声量を上げるために押さえておきたいポイントを4つご紹介します。
体の力を抜く
ボイストレーニング全体で意識したいのは、適度な脱力感です。無駄な力が入ると声も抜けにくくなるため、リラックスできる状態で発声しましょう。
体の力が抜けると、喉が適切に使えます。肩や腹部の力も抜けると、正しい姿勢を維持したまま歌えるでしょう。高音域に限らず重要なポイントです。
喉を開く
高音域を発声するとき、喉を閉じた状態では適切にコントロールできません。喉に無駄な力が入っている状態ともいえます。喉をしっかり開いたまま歌えるよう、開き具合を確認しながら発声しましょう。
空気の通り道ができると、高音域を歌うときも思い通りのボリュームで表現しやすくなります。喉へのダメージ軽減にもつながる方法です。
腹式呼吸をする
呼吸の量をコントロールするためには、腹式呼吸を適切に習得する必要があります。胸を使う方法(胸式呼吸)が日常になっている方は、横隔膜を使って呼吸ができるよう腹式呼吸の練習に取り組みましょう。
声量を上げるだけでなく、声質を変えたり細い声を出したりといった際にも役立ちます。歌唱力をアップする上で重要なポイントでもあるため、無意識で腹式呼吸ができるようトレーニングを重ねるのがおすすめです。
ミックスボイスをマスターする
「ミックスボイス」は、ボイストレーニングを始めた方が困難に感じやすいテクニックのひとつといえます。普段の話し声に近い地声(チェストボイス)と、高音域を発する際の裏声(ファルセット)の中間にある声質です。
ミックスボイスを習得することで、高音域の声量が小さい悩みも解消できる可能性があります。地声のような声質を維持したまま、本来裏声になる音域を発声できるためです。「声量が上がらない」という方は、ミックスボイスの練習もメニューに取り入れてみましょう。
声量を上げるための基礎トレーニング

声量アップのために大声で歌っているという方もいるかもしれませんが、まずは基礎的なトレーニングが大切です。
呼吸方法の習得や肺活量アップのほか、筋力トレーニングも視野に入れる必要があります。ご紹介する3種類の方法を参考に、無理のない範囲で実践しましょう。具体的な内容にも触れながらご紹介します。
腹式呼吸のトレーニング
腹式呼吸をマスターするためには、腹部(横隔膜)の動きを意識したトレーニングが必要です。初期段階では呼吸のタイミングと腹部の動きを把握します。日常生活に取り入れると、歌の練習中も無意識下で実践できるでしょう。
・リラックスできる状態になる(立位または座位)
・両手を腹部に当てる
・腹部を膨らませながら、ゆっくり息を吸う
・腹部をへこませながら、同じ時間かけて息を吐く
吸う息の量と吐く息の量を統一し、いずれも少しずつ吐き出す・吸い込むのがポイントです。
肺活量を鍛えるトレーニング
肺に取り込む空気の量が増えると、声量アップにもつながります。以下は道具がなくても実践できるトレーニングです。
・大きく息を吸い込む
・息を止め、数秒間停止(2秒~5秒で無理のない秒数を決める)
・息を全て吐き出す
・数秒間停止
苦しくならない程度の秒数を決め、少しずつ長くするとよいでしょう。500ミリリットルのペットボトルが用意できる方は、以下の方法を実践するのもおすすめです。
・キャップを開けたペットボトルの口をくわえる
・ペットボトルがへこむように息を吸い込む
・限界まで吸い込んだ後、息を吐き出す
腹筋を鍛えるトレーニング
腹筋を強化することで、横隔膜を安定させる効果が期待できます。一般的に知られる方法のほかにも複数のトレーニングがあるため、以下の表を参考に実践しやすいものから取り入れましょう。
鍛える場所 |
方法 |
腹直筋と腹斜筋 |
仰向けの状態で上半身を起こす(一般的な腹筋トレーニング) |
仰向けの状態で上半身を少し起こし、数秒間停止してから完全に起こす |
腹斜筋 |
仰向けの状態で下半身を浮かせる |
仰向けの状態で、両足をそろえたまま少し浮かせる(数十秒間キープ) |
声量のある高音を出すならミックスボイスをマスターしよう

ダイナミックな表現力と十分な声量を手に入れるためには、ミックスボイスの習得が近道です。呼吸方法のトレーニングや肺活量アップの練習も実践しながら、ミックスボイスのマスターに向けたメニューも取り入れましょう。ここからは、ミックスボイスの仕組みを踏まえたうえで具体的な練習方法を解説します。
地声と裏声の違いを理解する
ミックスボイスの練習へ進む前に押さえておきたいのは、地声と裏声の違いです。あいまいな感覚で実践するとコツもつかみにくいため、まずは自分の地声・裏声を発して違いを明らかにしましょう。地声は胸に、裏声は鼻や頭に響く感覚があります。
2種類の違いを認識した後は、自分が思うようにコントロールできるか試してみましょう。低音域から高音域へ移るとき、地声が出せない音を裏声で発します。声が極端に細くなったりかすれたりしないよう意識することが大切です。
鼻腔共鳴する
正しくミックスボイスを習得するには、鼻腔共鳴を知る必要があります。以下の手順を参考に、鼻に響く感覚が維持できるよう練習しましょう。
・鼻の頭に手を軽く添える
・口を閉じたまま「んー」と発声する
・鼻から手に伝わる振動の感覚を覚える(鼻腔共鳴の状態)
・「ん」以外の言葉でも同様に共鳴できるよう繰り返す
言葉や音程が変わると共鳴しないこともあります。低音域から高音域まで幅広い音程で発声を繰り返し、いつでも共鳴させられるようトレーニングすることも重要です。
声帯を閉じる感覚を覚える
ミックスボイスが適切に発声できているときは、声帯が閉じています。目視では確認しづらいため、以下のトレーニングを繰り返して感覚をつかみましょう。
・口を軽く開く
・「あー」と長く発声する
・任意のタイミングで止める
・喉の奥(声帯)が閉じる感覚を覚える
・声帯を閉じたまま発声する
力を入れた状態では喉も閉じるため、注意が必要です。練習を重ねて喉が痛くなる場合は、全身をリラックスしてから再開しましょう。
喉を開いた状態で歌う
声帯は閉じた状態が適切ですが、喉はしっかり開く必要があります。声帯のトレーニングに加え、以下も実践してみましょう。
・鏡を確認しながら口を開ける
・舌の奥側を下側に下げる(あくびのイメージ)
・喉が開いている感覚を覚える
・声帯を閉じる練習と組み合わせて発声する
声帯の練習と混同して感覚が分かりづらいときは、分けて実践するのもおすすめです。慣れてきた段階で組み合わせ、高音域でも発声できるよう練習しましょう。
声量のある高音を出すために自宅でできるトレーニング3選

「ボイストレーニングは特別な場所でなければできない」と考えるかもしれませんが、無音や小声でできる練習方法もあります。騒音が不安な自宅でも実践しやすいため、家事や軽作業の隙間時間に取り入れましょう。ここからは、声量を気にせずに実践できるトレーニングを3種類ご紹介します。
ロングブレス
「肺活量が少ない」と感じる方は、ロングブレスと呼ばれるトレーニングがおすすめです。声を発しないため、息の音が気にならない場所であれば気軽に実践できます。
・口を軽く閉じる(力を抜く)
・歯の隙間から空気が漏れるように息を吐く
・一定量で吐き出し、同じペースでゆっくり吸い込む
吐くときと吸うときの息を一定量に保つのがポイントです。スタート時のみ多くなったり途中で量が増減したりしないよう意識しましょう。
表情筋のトレーニング
歌うときに表情筋を意識する機会は少ないかもしれませんが、声量が小さい場合は筋肉が衰えている可能性もあります。普段動かしにくいパーツもあるため、以下4つのポイントを押さえたうえで表情筋を強化しましょう。
・口と目を大きく開ける
・顔のパーツを中心に集めるイメージで力を入れる
・口角を思い切り上げる
・割り箸を口にくわえて小声で発声する
口角や目など、気になる部位に集中するのもおすすめです。上記のうち、衰えていると感じる部分のみをピックアップして繰り返してもよいでしょう。
滑舌トレーニング
「大きい声を出すと滑舌が悪くなる」と感じる方は、滑舌のトレーニングを取り入れることも大切です。無音でできる方法もあるため、以下の3種類を参考に実践しましょう。
・上を向いて舌を思い切り出す
・文章や歌を母音のみで発声する
・早口言葉を繰り返す
音が気になるときは、舌を出して筋肉強化を図るのがおすすめです。舌の筋肉トレーニングで動かしやすくなると、苦手な言葉もスムーズに発しやすくなります。
高音を極めたらオーディションに挑戦しよう!
ボイストレーニングやミックスボイスの練習で自信が高まってきた方は、オーディションへの参加も視野に入れてみましょう。MUSIC PLANETでは、本格的な活動経験がない方を対象としたオーディションを開催しています。
対面式だけでなく、Webサイトからの遠隔オーディションも参加可能です。合格後も安心して活動できるよう、以下のようなサポート体制を整えています。
・プロデューサーと個人面談
・オリジナル楽曲の提供
・オリジナル楽曲をカラオケや音楽配信サイトで配信
・専属マネージャー配属
・プロトレーナーによるボイストレーニング
・プロカメラマンによるアーティスト写真撮影
・LIVE支援
まとめ

高音域を歌うときにボリュームを上げたい方は、複数の面からアプローチする練習が必要です。単に大声を出すだけでは魅力的な結果を得られないため、呼吸方法やミックスボイスに関するトレーニングも取り入れましょう。表情筋の強化や肺活量の増大も、声量アップにつながる要素です。
今後さらに本格的な練習やプロ活動を希望する方は、ぜひMUSIC PLANETの歌手オーディションにご参加ください。充実のバックアップ体制を整え、初めての活動も全力でサポートします。