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絶対音感と共感覚の違いは?最新の研究結果から2つの能力を徹底解説

絶対音感と共感覚は何が違うの? 2つの能力の違いや、生まれたばかりの赤ん坊には、この能力が全員に備わっているという驚きの研究結果についても紹介していきます。 また、この能力を持っている人物はどのような現実を生きているのかを具体的に解説していきます。 後半では、共感覚の最新の研究結果についても紹介しているので、2つの能力について詳しく知りたいという場合は、今回の記事を参考にしてみて下さい。

1. 絶対音感と共感覚は何が違う?

1-1. 絶対音感とは

絶対音感とは、耳から聴こえた音がどの音階の音なのかを機械のように正確に判別することができる能力のことをいいます。この能力があることで、数回聴いた曲を楽譜を見ずにピアノ演奏ができてしまったり、楽器のチューニングを感覚だけで完璧に行うことができます。 絶対音感を持っているとされている有名人は、「マイケルジャクソン」「モーツァルト」「松下奈緒」「美空ひばり」「みやぞん」などが存在します。

1-2. 共感覚とは

共感覚というのは、文字に色を感じたり、形に味を感じたり、音に色を感じる感覚を言います。この感覚の持ち主は数字を形や色で記憶していたり、音を色で認識しているので、一般の人には感じられない角度から物事を感じ取っています。 共感覚の持ち主として有名な人物には、「宮沢賢治」「中野裕太」「メアリー・J・ブライジ」「マリリン・モンロー」「ダニエル・タメット」「オリヴィエ・メシアン」「パトリック・スタンプ(フォールアウトボーイ)」「フランツ・リスト」「エドヴァルド・ムンク」「シャルル・ボードレール」「ウラジミール・ナボコフ」「マイケル・トーキー」「スティーヴィー・ワンダー」「ステファニー・モーガンステーン」「エレーヌ・グリモー」「ファレル・ウィリアムス」「ビリー・ジョエル」などが存在しています。

1-3. 絶対音感と共感覚を持つ場合

絶対音感と共感覚の2つの能力を大人になっても持ち続けている人物も存在します。 その1人として「サラ・オレイン」という人物がいます。彼女は1986年10月8日生まれの今年(2018年)で32歳を迎えられるオーストラリア出身の音楽家です。 母親は日本人の音楽家ということもあり、幼少期から音楽に触れて育ちました。その結果、絶対音感のトレーニングが自然と行うことができ、音を正確に理解する能力を身に付けることができました。 それと同時に元々備わっていた共感覚も失われることなく、大人になっても残り続けました。その結果、音を聞いた時に同時に色を認識することができるようになり、正確な音を聴き分ける能力と独自の観点から音楽を表現する能力を活かし、作曲家や作詞家、ヴォーカリスト、ヴァイオリニストとして活動しています。

2. 絶対音感や共感覚は特殊能力なのか?

絶対音感や共感覚は両方とも人間に備わっている能力であると科学的に証明されています。 生まれてきた赤ん坊は、全員共感覚があるとされていて、言葉が話せない赤ん坊は、言葉を色や形で認識しているとされています。また、絶対音感も備えていることも近年の研究から分かっているので、言葉が分からなくても、トーンに反応し識別しているとされています。 こういった能力は基本的に成長するにつれて失われていきます。 なぜなら、このような能力は現代社会で行きていくうえで必要がないからです。様々な研究により、子供の成長につれて徐々に脳や耳が出来上がっていき、言語を理解することができるようになる段階で、共感覚や絶対音感が無くても問題なくなり、ほとんどの場合、2つの能力は消滅していきます。

3. 絶対音感と共感覚(色聴共感覚)の最新研究

絶対音感と共感覚の最新の研究では、「色聴共感覚における音色に基づく音のカテゴリ化」というタイトルで、東京大学大学院人文社会系研究科の鳥羽山 莉沙さんと横澤 一彦さんの2名による、論文が発表されています。 この論文では、絶対音感と色聴共感覚を持っている人物は、ドレミなどの音をカテゴリー分けし、カテゴリー毎に音を色分けしていると考えられているとし、絶対音感は持っていないが色聴共感覚は持っている人物の場合では、ドレミは関係なく、音の「音色」によってカテゴリー分けし、そのカテゴリー毎に音を色分けている可能性があるという部分に着目し研究、実験したデータがまとめられています。 実験には43名の色聴共感覚と色字共感覚を持っている人物、色字感覚は無いが色聴感覚を持っている人物に実験に参加してもらい、研究を行いました。 集まった43名に対して共感覚のテストを行ったところ、共感覚の強さに違いが見られたため、4つのグループに分類しました。 4つのグループとは、 ・色字共感覚があり色聴レベルが高い ・色字共感覚があり色聴レベルが普通 ・色字共感覚がなく色聴レベルが普通 ・色字共感覚がなく色聴レベルが低い の4つです。 実験は3つの角度から行いました。 1つ目は色相と楽器です。 楽器の音色に対して色相に変化があるのかどうか調べました。 実験の結果、色聴共感覚傾向が高いと、同じ楽器であれば、異なる音程であっても、色相は同じであることが分かりました。 2つ目に行った実験は彩度と楽器の関係性についてです。 色相だけでなく、彩度に変化があるのかどうかを実験を通して研究しました。 その結果、先ほどと同じように色聴共感覚傾向が高いと、同じ楽器であれば、異なる音程でも彩度は同じであることが分かりました。 3つ目に行った実験は音程と明度です。 音程の変化により、グループごとに明度の感じ方に違いはあるのが調査したところ、どのグループも音程が上がるにつれて、明度は上がる傾向にありました。 この3つの実験から、絶対音感を持たない色聴共感覚の持ち主は音色によって、音の色分けを行っていることが分かりました。ただ、音色というのは複雑な要素が絡み合い作られるものなので、どの要素が色相や彩度に結びついているのかはさらに研究を行っていく必要があります。 また、色字共感覚のある無しによる色聴共感覚への感じ方には差は見られなかったことから、色聴と色字は独立した別々の共感覚だと言えます。 ・参考論文:色聴共感覚における音色に基づく音のカテゴリ化

絶対音感と共感覚の関係.まとめ

絶対音感と共感覚は非常に珍しい能力だとされていますが、生まれたばかりの赤ちゃんは両方の能力を備えているとされています。 成長につれて2つの能力は消滅してしまいますが、中には能力が消えることなく、大人になる人物も存在します。 絶対音感がある人物は、音を機械のように正確に捉えることができますし、共感覚がある人物は音から色を感じ取ったり、数字から形や色を思い浮かべることができます。 今回ご紹介したサラ・オレインさんは、2つの能力が残ったまま成長した人物として有名です。 この分野に関しては、まだまだ完全には解明されていない部分が多いので、現在も研究が続けられています。